帰省

4日〜6日と、実家の方に帰っていました。


去年の夏頃から珍しく帰省のペースが速まっています。
というのも、祖母の体調が思わしくないため。
実際、寝たきりのうえに認知症もひどく、
もう言葉も出ないような状態のため、
おそらく私の顔を見たところで、誰だかも分からないでしょう。


実は帰省の前日まで、予断を許さない状態にあったようです。
しかし帰省の日、親がほっとした様子を見せていました。
良い方向に向かっていたようです。


病院には5日6日と行きました。
5日に見た祖母は、いくら状態が落ち着いてきたとはいえ、
秋に帰省したときよりも確かに弱っていました。
そして6日、病院に行ったら
「いま、お風呂に入れています」
とのこと。
そのとき、私も親も、またほっとしました。


風呂から祖母が戻ってきました。
ベッドに横たわる祖母の顔をのぞき込んだとき、
いままでうめき声しかでなかった口から、
何か言葉になったようなものが聞こえてきました。
ざんねんながら、何て言っていたかは聞き取れませんでした。
ただ、おそらく文字にできる物だった、と思われます。


「アンタが来たから元気が出たんだよ」
母がそう言いました。
返す言葉がありませんでした。
自分、婆さんにはいいことを何もできなかったんだから。


自分なんか関係ない。
婆さんは「生きる」ことへの執念が、人一倍強いだけだ。
だから元気が取り戻せるんだ。


自分は、そう思うことにしています。
でないと、婆さんに本当に失礼な気がしてならないので。