「読み方」に甘えない

クイズ研究会主体の早押しクイズでは、問題読み担当者の「読み方」に特徴があります。
端的に言えば、「続きがあるのか無いのか、またどのように続くのか」を「わかりやすく」読むことが美徳とされています。


しかしこれは、日本語の読み方として大きな問題があり、私は違和感しかありません。
それもあり、「BAD」をはじめ私が運営したイベントでは、問題読みの方に「アナウンサーが原稿を読むように御願いします」と頼んでいました。


「誤答=失格なのに、それはないんじゃない?」と思う人もいたでしょう。しかし、これは「我々の世界だけでしか通用しない」ということを、忘れてはいけないと思います。
その代わり、早押しクイズの問題文は慎重に作りました。誤答に導かない文章だけではなく、問題全体にも一つの流れ(この日に出ている問題ならこの方面には振らない、など)を作っています。
100%完璧だったのか、という点は私から言及できませんが、参加していただいた方ならご理解はいただけたと思います。


答え手も作り手も「独自ルール」に甘えていないでしょうか。これ以上にやるべきことがあると私は思っています。


クイズ研究会にいる人間が、テレビのクイズ番組で問題を読むアナウンサーに難癖をつけているシーンを時折目にします。
そのたび、私は「自分たちだけのルールを押しつけるんじゃない」と思っています。

メッセージは要らない

[BAD]をやっていた頃ですが、終了後に必ず当日用意ぶんの問題を掲載した冊子を配布していました。
この手の問題集は、作者のコラムが載ることがほとんどです。


しかし、私は載せませんでした。


後日、ある方が参加を決めたとき、この問題集が決め手になったことをおっしゃっていました。
自分の考えが理解してもらえたこと、それが本当に嬉しかったです。


自分が伝えたいものは、このイベントそのものです。
それに乗じて、言いたいことをただ書くことは、その人の自己満足でしかありません。
人にお金と時間を提供してもらう以上、その自己満足は超えなければいけないでしょう。


「クイズ大会を催すこと自体が自己満足」という意見もあると思います。
否定しません。むしろ同意します。
しかし、そこで思考が止まっているのなら、全力で否定します。
自己満足を理解してもらうために何をすればよいのか、考えないといけません。

お客様は何のために来ているか

タレントが来るわけでもないクイズイベントを実施します。
それにお客様がたくさん来たとします。
お客様に喜んでもらおうと、主催者はあれもこれもとてんこ盛りにします。
しかし、一生懸命になったのに評判は芳しくありません。


こんな例はおそらく多々あるでしょう。


最初に客が来る理由、それは主催者のネームバリューです。
何もないところから始まる場合、客を寄せる最大の武器はこれです。


問題はここから。
ネームバリューがあっても、その人につきあうために来てるわけではありません。
クイズをするために来ています。
しかし、主催側は「たくさん面白いものを提供しよう」という建前で、
実際は自分のやりたいことを詰め込んでいる、となってはいないでしょうか。
その中には、お客様が求めていないものも少なくなく、
面白かった部分があってもこれのために良い評判にならなくなってしまいます。


個性を出すのは大事です。しかし、求められていない個性は必要ありません。
それを考えずに「何かやることが大事」になっては無意味です。


私は「自分の個性は求められていないから、一切入れない」としていました。
「BAD」を実施していた頃は、毎回のように参加者が増えましたが、
それでも自分らしさは最後まで入れませんでした。
私のことをよく知っていて、このイベントに参加してくださった方は
おわかりになるかと思います。
もし、あそこに私らしさが入ったら、すぐに廃れていたでしょうね。


最近はやりの「ちょい足し」という言葉を使えば、
「ちょい足しでかえって不味くしてはいけないから、自分は余計なことをしない」
ということでしょうか。
何でも足せば面白くなる、と思ってはいけません。

再開してみます

なんか色々と書きたいことが沸いてきたので。日常話はツイッタで。


しばらくはクイズ関連の話を。
私は20代後半、主にクイズ研究会に所属する人たちを対象としたイベントを運営していました。
そのとき培った運営ノウハウや、主催する人間としての心構えは、今でも大きな糧となっています。


ただ、なんかそのことをきちんと考えていない人が少なくないな、って思うんですよ。
それについて、少しでも多くの人に考えてもらいたくて書いてみます。


私は26歳〜29歳のときに「BAD」というクイズイベントを運営していました。
ご存じない方に説明すると
「一問でも間違えたら失格」
です。
ハードルは非常に高いですよね。
それをイベントとして立ち上げたのが、この私です。
まあ、あれですよね。ガキなところが抜け切れていない私を見て「まじめなことやるとは思えない」というのと、
決して名の通った人間ではないので「佐々木って誰?」の反応がほとんどだったでしょう。
私もそれは覚悟していました。


ただ、自分は「真面目でムダのないスタイリッシュなもの」を作っていました。
それを理解してもらいたかったのですが、ここで言葉を多くするとかえって安っぽくなってしまうと考え、
ほとんどコメントはしていません。


一部のルールだけ公開し、あとは当日来てのお楽しみ、としました。
こんなブラックボックスながら、第1回の当日参加者は59人。
ギリギリ目標に届かなかったぐらいです。
ただ、手応えはありました。参加者の「これは思っていたものと違う」という反応も感じることができました。


その後も、多くを語らないスタンスは貫きましたが、
回を追うごとに参加者が増えていったのは本当に嬉しかったです。
言葉にはしませんでしたが、皆様には心底、感謝していました。


まあ、自分のイベントについて喋りたくて喋りたくて仕方がありませんでした。
しかし、自分が言葉を尽くしたら、ここまで盛り上がることはなかったでしょうね。
絶対安っぽくなってしまうから。
他にも、上手く行ったと思う理由は多々ありますが、それはまた次回。

「勝つ」って経験がほとんどないだけに

慣れないことをしますがご了承を。しかもかなりの長文です。


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日曜日、クイズ仲間で麻雀好きの連中による大会「ロンオブ13」に参加。
毎回20人前後が参加し、自分は精勤(1回だけ欠席)。
以前は準決勝が関の山だったが、前々回・前回と決勝進出。
実は前々回頃から自宅にCSが導入され、MONDOの麻雀リーグを見始めており、
その頃から自分の中でも変化を感じていた。
その後、ゲーセンのMJ、そしてフリー雀荘と、麻雀に触れる機会を増やしていき今回を迎える。


なぜか勝つ気満々だった。エントリーの自由記入欄には「目標は決勝進出、そして優勝」と書いた。
最初から「優勝」を意識したことなんか一度もない。
もっとも、大口叩いた方が面白いよね、というのもあったが…。


前日、フリーで13年ぶりに役満をアガる(四暗刻)。
「だから今日は勝てないよ」と開始前には軽くうそぶいたが、
予選1回戦の東発でいきなりツモ四暗刻をテンパイしたときに「これは何かあるぞ」と感じた。


予選・東風計6回戦
20人中12人が勝ち抜け


先述の四暗刻テンパイはロンでも赤1枚あるので、跳満狙いでリーチ。
そして暗刻の六索が重なったのでカン、めくられたカンドラ表示は五索!
明らかに卓が凍り付いた。これは裏次第で直撃数え役満も…!?
しかし、リャンシャン牌で上家のアタリ牌を掴み放銃。まあ、このリスクは仕方がないか…。
この1回戦はその後の親番で、他家のリーチに一盃口の辺三万リーチ(ドラ表示は三万)で追っかけるという
無謀なことをしながらもツモを引き当てるなど、強引な押しが功を奏しトップを獲得。


2回戦はオーラス・ラス目で3位と1万点差の苦しい展開。
手も悪いので親番連チャンに期待しつつ悪くてもテンパイに持ち込もうと1枚だけの字牌をバシバシ捨てる。
しかしこれが上家のK島さんに2つヒット。
その後、対面のY田さん(親番)がリーチをかけるが、
K島さんがさらに字牌を2つポンし裸単騎の字一色テンパイ!
こうなると願うのは、Y田さんが字牌をつかむことだけ。
おそらく現状ではこれでの3位浮上以外に最善の目は無いと判断、ベタ降りする。
その後、牌を引いたK島さんの手が止まり、手許にあった中を切り出す。
場を見る限り、残ったのは……
そしてY田さんが牌を引いた瞬間に「ああっ!」の声とともに固まった!
おそるおそる出した北をK島さんが仕留める。同時に自分もラス脱出に成功。


3回戦では再びツモ四暗刻をテンパイさせるが、これは他家からのロン(満貫)止まり。
その後はやや苦しい展開となり、6回戦では東発で親のT永君が8千オール!
これはヤバいと感じたが、直後に跳満をツモりなんとか2位で切り抜ける。
トータルの結果、20人中10位で予選を通過。


準々決勝・半チャン計2回戦(予選の得点は半分にして持ち越し)
12人中7人が勝ち抜け


予選1回戦・6回戦と同じ卓で準々決勝1回戦。
予選1回戦でも同卓したK原君がつき「佐々木さんとこの卓では勝てる気がしない」。
まあ彼も自分も、偶然の産物だからとわかっての話ではあるが、
ここでも私がトップ取りに成功。
準々決勝2回戦はテーブル替えの抽選をしても自分はまた同じ卓だが、ここでは3着。
予選の低さを考えれば微妙な点数だったが、ギリギリの7位で通過。


準々決勝・半チャン1回戦(得点持ち越し無し)
敗者復活1名を加えた8名を2卓に分け、各卓2名が勝ち抜け


抽選の結果、下家にF野君、対面にO渕さん、上家にS本君がつく。
F野君は予選1回戦で7万点越えの大爆発。
O渕さんは高めの手作りがとても上手く、自分にとって相性は最悪。
S本君も手作りの良さはなかなか。前回、危うく中筋引っかけの親倍満を振り込みかけたことを思い出した。
大荒れになってもおかしくないメンバー。そして東発の親番、O渕さんがいきなり満貫ツモ。
一方自分は思うように手作りができないが、なんとか2万点台で東場を終わらせる。
この段階で上位はS本君・O渕さん。
そして南入、ここでO渕さんから満貫を直撃させることに成功、逆転で自分がトップに立つ。
大切なのはオーラス突入時、自分がトップにいること。そしてS本君に千点差で迎えることができた。
親番はラス目のF野君。もちろん連チャンすればいいのだが、制限時間が設けられてありおそらく2局が限度。
そんな彼がリーチをかけてきたが、こちらはアガリから遠いので抵抗せず降りる。
流局にはなったが、困ったことにS本君がテンパイのため自分との順位が入れ替わってしまった。
さらにF野君はこれで次局、跳満ツモでも届くぐらいか…
1万点近くの差があるO渕さんも満貫ツモで自分をまくる可能性大。
やばい。
しかし、前回の準決勝でこれに近い状況を中のみで切り抜けたことを思い出し、前向きになって挑む。
(時間上)実質的な準決勝最終局。自分の手は残念ながらテンパイから遠く、ナキ仕掛けも難しい。
そんな中でF野君がリーチ。おそらく裏期待だろうが、それでも自分には脅威でしかない。
ここで攻めたらダメ。彼のこの状況では逆転目が見えたら苦しくてもリーチをするものと考え、
流局を期待しベタ降りに走る。結果流局となり、3回連続の決勝進出となった。


決勝・半チャン1回戦(得点持ち越し無し)
1位で優勝


下家にK島さん、対面にS本君、上家にK原君。
K島さんは序盤に字一色をアガっているが、前回は躱してのアガリなど巧者なところを見せていた曲者。
K原君は大きな大会も制している。自分との相性がダメでも上位で抜けているのは力の証拠。
そして卓はまた同じでK原君もいるが、もちろんジンクス的なことは気にしない。


K原君の親番でスタート。自分の手は対子が増える一方なので七対子狙いに定める。
若干のミスチョイスもあったがテンパイ。六索を切って二万単騎のリーチに受けるが、
次巡で六索を引いてくる。
ダメだなぁ… と思ったがK原君が二万をリリース。6400点をいただく。
東二局、親番を迎え平和ドラ1、高めで一盃口の手が入る。
待ちが四・七筒なので手堅く行くならダマテンだが、
ここで大きいのを取って引き離した方が良いと考えリーチ。
ここにK島さんから高めの四筒が飛び出し、裏が2枚乗って18000点直撃。
やっと「優勝」の文字が見えた。
東二局1本場。K島さんがリーチをかけた直後に自分もテンパイ。
役無し、ドラ九筒はK島さんの捨て牌に筒子が見えないので切りたくない。
しかし他の牌も安全と言えるものは…
しばし悩んだあげく、ドラ単騎で追っかけリーチ。
完全に一か八かだが、K島さんを討ち取る作戦に出る。
結果は流局だが、弱気にならず親番をキープした自分を少し褒めた。
東二局2本場。万子の形が良く、順調に手ができていく。
筒子・三三
万子・二三四四五六六七八(五は赤)
索子・七八
9巡目にこの形でテンパイが入り即リーチ。自分の捨て牌に索子は前巡の四索のみ(捨て牌の大半は字牌)。
さらに待ちの一つである六索はドラのためどちらも警戒される可能性は高いが、
煮詰まったら九索なら出てくる可能性が…


そう思う間もなく、K島さんから一発で九索が!
「ロン!!!!!!!!!!!!!!!!」
主催N野君「きまったぁ!!!」


一時の勝負ではなく、こうして段階を踏んでの勝負で「勝つ」という経験が長らく無かった。
自然と両手でガッツポーズを取った後、しばらくは放心状態だった。
勝つことがあまりにも新鮮すぎて、何をしたらいいのかわからなかったのかもしれない。


決勝の大勝は配牌・ツモの良さに助けられたことは間違いない。
ただ、あの「やりすぎ」と言われてもおかしくないリーチをせず、
親番をキープできなかったら果たしてどうなっていたか。
ここ1年、麻雀に触れる機会が格段に増えたことで、
麻雀以外でも(クイズとか)「勝負」について、真剣に考えるようになったが、
その結果があらわれたのだとしたら、これ以上嬉しいことはない。


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記憶だけを頼りに書いているので事実誤認はあるかもしれません。
ただ、「勝つ」という貴重な経験を得られたことについて、皆様に心から感謝します。

ワールドクイズクラシック

驚くほど久々のブログ更新です(笑)。


本日放送された「ワールドクイズクラシック」(TBS)。
実はオーディションに参加→歯牙にも架からず、だったのですが
幸いにも本編収録を観覧できることになり行ってきました。
そのためあの内容はオンエア外も含めて一通り知っているのですが…


いやぁ、アツくなりましたね。みんな凄かった。あの世界観も凄かった。
あとは番組が続くか否か視聴率次第でしかないので、
無事続けられるだけのものになっていることを願うしかないです。
次回あったら出たい! あの1回戦は魅力的すぎる!


さて、どうしても文章化しておきたいことが。


クイズ番組に限らず、こうした特番は「事前番組」や「CM」が付きものなのですが、
これって「ネタバレ要素」を少なからず孕んでいるんですよね。
最初から番組本編を観る気満々の人は、こういうのを本当に嫌います。


でも、これって本編ではない「事前番組」なんですよね。
その役割って、本編を観てもらうための呼び水みたいなものじゃないですか。
だとすると、観る気満々な人よりも、そうじゃない人に向けられているはずなんですよね。
そこで本編の様子が多少なり出て来るのは、当然のことだと思います。
今日日何のとっかかりもなしに「観よう」って人はほとんどいないと思うので。


マイミクの中で「本編まで事前番組は一切観ない」という方もいらっしゃいました。
それが賢明だと思います。
自分は現場で見てきたことと、誘惑に弱いことにより最初から我慢する気はゼロでしたが(笑)


あともう一つ。


あの場に出られた33人は、言ってみれば「選ばれた方々」です。
オーディションで負けた人間として、その人たちに自分は最大限の敬意を払います。
同じように落ちた人間のやっかみを見聞きしましたが、それは違うだろうとしか思えませんね。
もっともそんなやっかみを言わない自分でも、ろくにオーディションを抜けたことがないですが(笑)。